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『竜とそばかすの姫』 父親はなぜ逃げた?など疑問を徹底解説

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こんにちは、ながいです!

前回のブログで、『竜とそばかすの姫』は、恋愛や夢を叶える話ではなく、あくまで、「母と娘」のストーリーとして観ると面白いよっていうお話をしました。今回はさらに深く、登場人物やシーンについても触れていきたいと思います!

 

前回の記事がまだの方はぜひ読んでみてください↓

cinema-nagai.net

 

一度観たけどよくわからなかったとか、つまらなかったという方。ぜひ一緒に『竜とそばかすの姫』のシーンを振り返り、疑問を解決していっていただけると嬉しいです^^

 

 

『竜とそばかすの姫』のストーリー設計

 

鈴のお母さんは、鈴が幼い頃、溺れる少年を助けるために川へ飛び込み、死んでしまいました。

鈴にとっては、「あの少年を助けることが、私と生きることよりも大事だったんだろうか?」と考え続け、そのことをトラウマとして抱え生きていたんですよね。

『竜とそばかすの姫』では、このトラウマが解決されていく設計になっているのです。

それを描くために欠かせないのは、そこに出てくる登場人物です。

 

『竜とそばかすの姫』と登場人物

『竜とそばかすの姫』に出てくる登場人物たちは、鈴がトラウマとして抱える問題に気づかせるための存在という視点で物語を見ていきます。

そうすることで、「母と娘」のストーリーという軸で作品を観ることができるのでおすすめです!

そんな登場人物たちの中でも特に、鈴がお母さんとの問題に気づいていくのに欠かせない人物が2人います。それが、「しのぶ」「竜」です。

 

『竜とそばかすの姫』と「しのぶ」

鈴の幼馴染として登場する「しのぶ」。すずが恋心を抱いていたことや、6歳の頃プロポーズを受けたというエピソードが出てきます。でも彼は、すずの幼馴染でもなく、恋愛相手でもありません。

じゃあ何かっていうと、「母親」です。しのぶはすずの「母親」としての役割をずっと担ってきているんです

 

「しのぶ=すずの母親役」がわかるシーン

しのぶがすずの母親としての役割であることが、分かりやすく表現されているシーンがあります。それは、鈴の同級生ルカとふたりで家の縁側で話している場面。

 

「ちょっと変なことを言うけど、私その人(しのぶ)のことを、なんだか、すずちゃんのお母さんみたいだなーって、ずっと思ってたんだ。
だって、何もないのに『大丈夫?』とか『平気?』とか、いっつも聞いてるでしょ?
男子なのに不思議だよね、しのぶくんて。」

って、ルカが鈴に言うんです。

 

実際、しのぶはすずのところに来ては「大丈夫?」「なんかあった?」「なんかあったら言えよ」ばっかり言うんですね。
何を思ってそういうことを言ってきてるのかなっていうと、ルカの言う通り、しのぶはすずのお母さんを背負ってるからなんです。

母親っぽい雰囲気だけでは伝わりにくいので、しのぶ以外の人にこういうセリフを言わせることで、「そういうことか」って分かるように設計しているんだと思うんです。

すずがアンベイルをした理由

すずはUの世界で、かなり危険な行為とも言える、アンベイルをして素顔で歌を歌いましたよね。その時、すずはハッとした表情になり、そのすぐ後に、お母さんが見ず知らずの少年を助けにいく川の場面が映し出されます。ここですずがハッとしたのは、自分も『竜』という見ず知らずの子を助けるために、めちゃくちゃリスキーなことをしているじゃないかって気づいたから

つまり、この作品では「すずのお母さんと助けた少年」の関係を「すずと竜」として描いているんです。すずに母親と同じ体験をさせることによって、お母さんは決して鈴のことが大切じゃないから見捨てたわけではないし、人間にはそうせずにはいられない瞬間があるっていうことに気づかせたんですね。「竜」という存在は、すずにお母さんと同じ体験をさせてあげるための存在だったわけです。

ちなみにこのシーン、身バレを恐れず表現することを推奨するのはどうなの?という批判があちこちでされてるんだけど、そういうことじゃないんです。すずが、見ず知らずの人を守らざるを得ないっていう体験がこの映画には必要だったのではないでしょうか。

 

竜の父親はなぜ逃げたのか

 

すずが現実世界での竜(恵という14歳の少年)とその弟を、虐待をする父親から救いにいくシーンがあります。この時のすずは、すでに自身が「母親」になっているんです。それは、竜兄弟と鈴、虐待をする父親が対峙した場面で分かります。

父親はすずに対しても暴力を振るい、顔から血が流れているすずが竜兄弟を守っている。それを見た父親は唸った末に、バツのわるい顔をして腰を抜かして逃げていくわけです。

これは、父親が、すずの中に竜の亡くなった母親(自分の妻)を投影した。そして、家族を守るべき自分が暴力をふるっている状況を妻に見られたような気分になって逃げていったんですよね。

すずが、大人の手助けなく一人で助けにいかなければならない、大事なシーンでしたね。

 

『竜とそばかすの姫』はおもしろい!

現実的に考えると、ツッコミどころが多く感じてしまうかもしれない『竜とそばかすの姫』。ストーリーの本筋を「母と子の物語」に絞ると、面白く観られるのではないでしょうか。

今回お話した内容から分かることは、『竜とそばかすの姫』はファンタジーが含んでいるということ。なので、そのように捉えてみるのも、楽しく観られるポイントだと思います。

これらのことを理解した上で、ひとつひとつのセリフとか、キャラクターの役割を見て、全体のストーリーを捉えていくと、すごく感動的な映画になっているとぼくは思います。

皆さんはこの映画をどう観ましたか?

 

ではでは、
最後までお読みくださりありがとうございました!

 

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